「大館曲げわっぱ」
2008年 12月 13日
現在は「曲げわっぱ」製作は天然秋田杉で加工されるがその杉が少なくなって来ており将来は人口杉になってしまう恐れがあります。
10数年前に当社で新築を計画された方のお宅に最初お邪魔した際に、中の柱はそれはもう立派な官木秋田杉でして中々市場に出回らない特級品で思わず撫でた思い出があります。
建て替えの際にはどちらのお宅の方でも(特に年配の方)「うちの秋田杉の柱は立派だから新築の家に使ってくれ!」と良く言われることがありますが記念とか思い出としては使って上げたいのだが色々と汗をかいて(笑)説明をして失礼だがご遠慮願って代わりに床柱や上がり框などを新しい家に利用させて頂くことがあります。
今まで数多く解体して来て(他業者さんの現場も)柱を手で解体してそれを利用している例は殆んどないと思っています。大抵は重機が入って解体されます。しかし、冒頭の官木のお宅は違いました。何処からどう聞きつけて来たのか市内の曲げわっぱ業者さんが解体には迷惑掛けないからと言ってその天然秋田杉の柱を1本1本取り外して持ち帰ったのです。
木も本望であって機械でミンチにされるよりは曲げわっぱとして新たに生まれ変わる事が出来て貴重な生活の器として利用されていると思います。
自分の祖父の代まで曲げわっぱを作っていて幼少の頃は身近に丸くなった秋田杉(お湯で煮込んで加工途中の曲げわっぱ)が転がっていました。
その昔は今の様な高級な器でなくて、ごくありふれた日常の生活用品であって特別に丁寧に扱われていたわけで無かった。勿論、デザインもシンプルで殆どの品が塗装もなくて色仕上げされてるわけでもなくて部材全部が白木であった。
作っていたのは元々は下級武士(足軽)の内職であって長木川に近くお城に近い羽州街道に面した粗末な建物内(掘立小屋に毛が生えたような)で作業をしていたようです。
江戸時代から今も町内(発祥曲げわっぱ製作地)に代々当時から住み続けているのは数軒だけになってしまった。